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編集部共通

2026.10.03

漫画編集者は、作品をどう磨くのか——第二編集部・池田さんの仕事の進め方

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漫画編集者というと、「作家さんの原稿をチェックして、締め切りを管理する人」というイメージがあるかもしれません。でも、編集者が向き合っているのは、作品が本当に面白くなるまで、作家さんと一緒に磨き続けることです。

ソラジマ 第二編集部の編集長・池田さんに、その仕事を聞きました。作家さんとどう向き合い、毎日なにを見て、どこまでこだわるのか。漫画編集者の仕事を具体的に知りたい方に向けて、そのまま書きます。

漫画編集者の仕事の全体像は、漫画編集者の仕事内容——縦読み漫画の編集部で、編集者が実際にしていることにまとめています。

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ソラジマ 第二編集部 編集長。学生時代から「物語づくりに携わる仕事がしたい」と考え、映像制作会社を経てソラジマへ。選考では「出されたお題以上のことをやりたくて」、企画資料を100枚近くつくって持っていったそう。担当作品に『天才暗殺者、2度目の人生はアカデミーから』(原作・脚本:永田るいす)など。

つくるのは作家さん。編集は、言葉を集めてサポートする

作家さんと作品をつくるうえで、大事にしていることは?

池田:作家さんにとって縦読み漫画での作品作りは初めてなことが多い。だからこそ、編集は作家さんにお渡しできる言語をかき集めて、必要な時にしっかり作家さんをサポートできる状態であらなければならないという意識が強くあります。作品を作ってくださるのは作家さんで、編集ができることはあくまでサポートです。

作品を見るとき、何を基準にしていますか?

池田:まず、とにかくコンテンツとして純粋に面白いか。縦読み漫画を初めて読む人が読んでも「ちゃんと面白い」と思えるか。そこには絶対に妥協しません。

そのために、「なぜ面白くないのか」「どうすれば面白くなるのか」を徹底的に言葉にして、遠慮なく意見をぶつけ合うフィードバック会を、週2回・各2時間ほど続けています。

作家さんとは、どう関係をつくっていきますか?

池田:何より、信頼関係です。作家さんとは密に関わる分、お互いの考えがぶつかることも珍しくありません。だからこそ、作品にとって一番いい形を一緒に探せるように、対等に話し合える関係、お互いの意見を尊重できる関係をつくっておくことが大切です。普段からしっかり話せていれば、作家さんも言いにくいことを相談してくれます。

ソラジマの編集者の仕事の特徴を教えてください。

池田:一番は「裁量」だと思います。未経験で入った編集者でも、入社してすぐに作品を担当することが珍しくありません。どんな企画で攻めるか、どんな作家さんと一緒につくるかは、編集者に委ねられています。ただし、実際に連載するには社内の審査を通らなければなりません。

企画:毎日、市場を追って「答え合わせ」をする

※第二編集部・池田さんの担当作での流れの一例です。制作の体制は、作品と作家さんによって異なります。

企画は、どう立ち上げますか?

池田:大きく分けて2つあります。話し合いを通してゼロから作家さんに企画をつくっていただくパターンと、編集者が企画の種をつくって、作家さんと一緒に広げていくパターンです。

どちらの場合も、市場を知ることから始めます。僕の場合は、LINEマンガやピッコマで「どんな新作が出ているか」「新作がどうやって推されているか」「どのくらい伸びているか」「今のヒット作の売上がどう動いているか」を毎日追っています。その中で、「今、読者が求めている感情の動き」を大きなものから小さなものまで見つけて、言葉にしていきます。言葉にしたものを、作家さんと一緒に作品に落とし込んでいくんです。

データと感覚、どちらを大事にしていますか?

池田:正解がない世界なので、どちらも大事です。僕の中では、数字は「答え」に近いですね。

新作は、出た直後だと、売れているかを判断できるほどの数字はまだ集まりません。だから数字が出る前に読んで、「初日はどれぐらい売れるだろう」「1週間後はどれぐらいだろう」と予想を立てます。そのあと、実際の数字と自分の予想がどれだけ離れていたかを答え合わせするんです。

ただ、一番大事にしているのは自分の感覚です。数字は参考にしながら、「この作品はどれだけ読者に受け入れられそうか」をはっきり思い描けることが理想です。

バトル作品は、性別を超えて「みんながワクワクできる」ところに行き着く

担当しているバトル作品の面白さは、どこにあると思いますか?

池田:本当に売れているバトル作品は、性別に関係なくハマれるものだと思っています。“すごいバトル作品”は最終的に、男性・女性という枠を超えて、「みんながワクワクできる」「誰も成し遂げられなかった意義深いことを、主人公がやり遂げる」というところに行き着く。そこを突き詰められるのが、バトル作品の大きな魅力です。

企画を提案するときは、何を意識していますか?

池田:自分の企画と似た作品は、すべて読みます。ヒットしている作品も、そうでない作品も読み込んで、「ヒットの分かれ目がどこにあるのか」をできる限り具体的に言葉にします。

コンテンツには言葉にできない部分もたくさんあります。それでも、「なぜこの作品が面白く、読者に届くと思うのか」は説明できたほうがいい。普段その配信先を使っていない人が読んでも没入できるか、どうやって話題になって広がっていくか。アニメ化のようなメディア展開も、作品にまだ出会っていない読者の方に届けるための道の一つとして考えています。

作家さんとの出会い:決め手は、企画との相性

一緒につくる作家さんは、どう探しますか?

池田:制作の体制は、作品と作家さんに合わせて選びます。僕の担当作では、まず物語の生みの親である原作者さんを探すところから始めて、作品によっては、絵やネームなどを手がけてくださる方々にも加わっていただきます。

決め手は、どの場合も企画との相性です。あえて今の市場にない絵柄で勝負したいときは、個性の強い方を探します。逆に、今の読者の好みにぴったり合わせて届けたいときは、その方向に寄せられるかを見ます。作品の戦略によって、基準そのものが変わるんです。

探し方は、ソラジマにクリエイター登録をしてくださっている方にお声がけしたり、コンテストや投稿サイトで面白い作品を発表している方にSNSを通じて声をかけたりしています。

制作:コマ単位で見比べて、面白くなるまで磨く

原稿は、どこまで見ますか?

池田:第一に、とにかく丁寧に見ること。次に、目指すヒットの大きさに届いているか、です。

同じジャンルでヒットしている作品と担当作品を並べて、線画ならコマ単位で延々と見比べます。着彩もネームも同じです。ひたすら細かく見比べて、「何が足りていないのか」と同時に「何がこの作品の強みになっているのか」を突き詰めます。

この粘り強さについて、代表の前田さんはこう振り返っています。

「以前、池田くんの担当作品も、最初に見たときは『仲間として応援はできるけど、まだそこまで面白くない』と感じたことがありました。ところが、3ヶ月後に見た同じ作品は“別物”と言っていいほど進化していて、『この3ヶ月で、いったいどれだけ足腰を鍛えたんだ?』と凄い思いました」(前田)

複数の作品を担当するときは?

池田:一番意識しているのは「すぐ返すこと」です。作家さんを待たせてしまうと、その間は作家さんが作業を進められません。そのため、成果物が届いたら、できるだけすぐ確認して返信します。スケジュールも先回りして組んでおき、強いこだわりを込めてくださる方の時間も大切にできるようにしています。

未経験から成果を出す人は、「熱量」と「こだわり抜く力」がある

未経験から成果を出している編集者に、共通点はありますか?

池田:「熱量」と「こだわり抜く力」ですね。

未経験でも成果を出している人は、インプットとアウトプットの熱量がとても高い。漫画はもちろん、映画やドラマなど、ジャンルを問わず物語を毎日取り込んでいます。熱量が高いから馬力があって、プレッシャーも跳ね返せるんだと思います。

もう一つが、こだわり抜く力です。作品は、磨こうと思えば無限に磨けます。もっといい脚本、いいネーム、いい線画……と目指し始めたらきりがない。その中で、どこまでこだわり抜けるかで作品が変わります。

一度形になったあとも、「ここの表情がおかしい」「このコマでもっと強い印象を残したい」「カタルシスが足りない」と、細かいところまでこだわる。そのこだわりが読者に届いて、大きなヒットになっています。

やりがいと、これから

この仕事の一番のやりがいは?

池田:作家さんと一緒に頑張ってつくってきた作品が世に出て、読者に受け入れられた瞬間ですね。読者が喜んでくれたら、つくった僕たちも嬉しいし、作家さんにも還元できる。本当に、誰もが幸せになれる瞬間です。

それに、作家さんと一緒にネームや脚本、線画をつくっていく工程そのものが楽しい。それがそのまま、やりがいになっています。

これから、どんな作品を届けたいですか?

池田:縦読み漫画を普段読まない人にとっても、人生の宝物になるような作品を、作家さんとともに生み出したい。それが、僕の目標です。

漫画編集者の仕事と選考について

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