編集部共通
2026.09.16
漫画編集者の採用試験——ソラジマの選考5ステップと、各段階で見ているもの

「漫画編集者の採用試験って、何をするんだろう」。そう思って検索された方に、まず結論からお伝えします。
ソラジマの漫画編集者選考は、5つのステップです。
内、オフィスにお越しいただくのは1回だけで、それ以外はすべてオンライン。
応募から内定まで、およそ4週間です。
この記事では、各ステップで何をするのか、そして私たちがそこで何を見ているのかを、採用に携わる立場からそのままお伝えします。
対策の裏技をお伝えする記事ではありません。
ただ、読み終えたときに「何を準備すればいいか」がはっきりしているはずです。
目次
選考の全体像——5つのステップ
- 書類選考 — 創作への熱量・伝わる文章かを確認
- 人事面接 — 創作への熱量・口頭コミュニケーション力を確認
- 企画プレゼン — オリジナル漫画企画の作成・プレゼンテーション
- メンバーインタビュー+業務トライアル — オフィスに1日来訪いただき、実務に近い環境での選考
- 内定
(※選考編集部により選考内容が変更になる場合があります)
先に一つ、はっきりお伝えしておきます。この5つのどの段階でも、「編集の実務経験」は確認していません。 学歴も、職歴も、漫画の知識量も、合否を分ける要素ではありません。確認しているのは、創作への熱量と、考える力と、伝える力です。
「そもそも未経験から漫画編集者になれるのか」が気になる方は、未経験から漫画編集者になるには——3つの道と選考の実際もあわせてお読みください。
1. 書類選考——「志望動機」を、テンプレートでは聞きません
何をするか
採用ページの募集要項からご応募いただくと、選考担当者から書類選考のご案内をお送りします。
そこで、3つの設問にお答えいただきます。
- あなたの夢・目標はなんですか?
- その夢・目標を抱くに至った具体的な出来事や瞬間を教えてください。(作品名・場面・人物名など、固有名詞を含めて具体的に)
- その夢・目標を実現する手段として、なぜ編集者というポジションを選ぶのですか?
なぜ、この3つなのか
ここに「弊社を志望した理由をお書きください」という設問はありません。いわゆる志望動機を、決まった形では聞いていないのです。
理由は単純です。「御社の理念に共感し」から始まる文章を読んでも、その人のことが何もわからないからです。共感の表明は、書こうと思えば誰でも書けてしまいます。
私たちが知りたいのは、その元にあるものです。あなたが何を実現したくて、その願いはどこから来たのか。そして、編集者という仕事がその願いに対してどういう位置にあるのか。3つの設問は、この順番で一本につながっています。
3つ目にあえて「手段として」と入れているのは、編集者になること自体を目的として語られると、その先に何があるのかが見えないからです。
見ているもの
創作への熱量です。
エンタメ・創作・物語に深く感動した人は、たくさんいます。私たちが知りたいのは、感動のどこかで、読者でいることに満足できなくなった瞬間があるかどうかです。
もうひとつ。その手段が、なぜ編集者なのか。ここに、借り物ではないその人自身の答えがあるかを見ています。
文章のうまさは見ていません。言いたいことがこちらに届くかどうか、それだけです。
準備できること
2つ目と3つ目の設問に、自分の言葉で答えられるようにしておくことです。
2つ目は、思い出す作業です。「漫画が好きだから」「物語に救われたから」だけでは、まだ答えになっていません。いつ、どんなときに、自分の中の何が変わったのか、をたどっておいてください。
3つ目は、「編集者になりたいから編集者を志望しました」では成立しません。1つ目と2つ目に書いたことから、なぜ編集者なのかがつながって読めるか。それがそのまま答えに出ます。
うまく書く必要はありません。整った文章より、その人の実際の熱が伝わる文章のほうが、私たちにはずっと価値があります。
2. 人事面接——書類の回答を、深く掘ります
何をするか
オンラインでのビデオ通話で実施します。書類選考でご記入いただいた内容をもとに、そこに書かれた思いや考え、経験を深掘りする質問をさせていただきます。
オンラインでの実施になりますので、通話ツールの接続確認と、通話環境の確認だけは事前にお願いします。
よく聞かれること
大きく、2つの方向から伺います。
① 書類選考の回答の深掘り
書類でお答えいただいた夢・目標、その原体験、そして「手段として編集者を選ぶ理由」について、さらに踏み込んで伺います。
書かれた言葉の背後にある実際の出来事や感情を知りたいので、「そのとき何を感じたのか」「なぜそう思ったのか」を、繰り返しお聞きすることになります。深掘りされるのは、あなたの回答に私たちが関心を持っている証拠だと思ってください。
② 辛いときでも、あなたを支え続ける・突き動かし続けるものは何か
これが、私たちがもっとも深いところを聞く質問です。
作品づくりは、うまくいかない時間のほうが長い仕事です。企画は何度も没になり、思うように読者に届かないこともあります。そのとき折れずにいられるかは、能力の話ではなく、自分の内側にどんな想いを持っているか、だからこそもう一度立ち続けたいと思えるか、という根源的な部分の話だと思っています。
この質問への答えは、面接のために作り出すようなものではないと思っています。私たちが知りたいのは、あなたの中にすでにある根っこの想いです。うまく言葉にならなくても大丈夫です。言葉を探しながら話してくださる時間そのものに、私たちは意味を感じています。
見ているもの
創作への熱量と、口頭でのコミュニケーション力です。
書類で見たものを、今度は対話で確かめたり、深める場だと考えていただければと思います。
準備できること
面接のために何か作り込む必要はなく、自然体で話せるようにすることが大切です。
つくった答えを用意されると、かえって深掘りができなくなり、私たちがあなたを知る機会が減ってしまいます。
自分の内側を、面接の前に一度のぞいてみる——それが唯一の準備だと思います。
3. 企画プレゼン——オリジナルの漫画企画を、つくって、話す
何をするか
オリジナルの漫画企画を作成し、プレゼンテーションしていただきます。進め方は2段階です。
① 企画書の作成・提出
どういう企画を作っていただきたいか、テーマはこちらからお渡しします。あわせて、あなた専用のGoogleスライドのリンクをお送りしますので、そこに企画書を作成してください。
- 提出期限は5日間です
- 分量の指定はありません。必要なだけ使ってください
② プレゼンテーション
企画書が通過した方に、その企画を実際にプレゼンしていただきます。企画書の全ページを読み上げる必要はありません。選考官は企画書を読み込んだうえで臨みますので、あなたの企画がいちばん伝わる形でプレゼンしてください。
見ているもの
企画そのものの完成度はもちろんですが、そこに至るまでの考え方と、話の筋道も重視しています。
なぜこのテーマからこの企画に行き着いたのか。誰に、どんな感情を届けたいのか。その狙いを実現するために、どの仕掛けを選んだのか。企画書に書かれた結論と同時に、その結論を支えている思考のほうを見ています。
だから、思いつきの面白さで勝負する必要はありません。むしろ、面白さを説明できることのほうが、この選考では重要視しています。
準備できること
リサーチです。テーマを受け取ったら、関係する作品や、読者のいる場所を、時間をかけて調べてください。
編集者の仕事は、思いつきを形にする仕事ではありません。誰かの心を動かすための道筋を、根拠に基づいて設計する仕事です。その働き方が、この選考でそのまま試されます。
4. メンバーインタビュー+業務トライアル——オフィスで、1日業務体験

何をするか
選考の中で唯一、ソラジマのオフィスにお越しいただく日です。この日は、2つのことを行います。
- メンバーインタビュー……現場の編集者・社員との座談会で双方理解を深めます
- 業務トライアル……実務に近い環境で、編集業務を体験していただきます
見ているもの
一つは、入社後に力を発揮していただけるか。もう一つは、あなたにとってここが合う場所なのかです。
この日は、私たちがあなたをより深ぼる日であると同時に、あなたが私たちを深ぼる日でもあります。
現場の編集者が実際にどう働き、どんな言葉で作品の話をしているのか。それを見て「ここで働きたい」と思えないなら、それも大事な答えです。無理に飛び込むより、自身の感覚を正直に受け止めてほしいと思っています。
仕事の中身を先に知っておきたい方は、Webtoon編集者の仕事内容——作品を、どこまで遠くへ届けられるかをご覧ください。会社そのものについては、Sorajima Entrance Bookにまとめています。
服装は、ご自身らしい服装でお越しください。
準備できること
最終選考全体についてです。
「見る日」であり「見られる日」だと思って、ぜひ臨んでください。
また、出社当日及びこの期間で最大限の成果を得られるように、準備して臨むことをお勧めします。
最大限の成果のために、必要なリソース・時間・環境は自分で欲しがりましょう。
5. 内定
ここまでの選考を通過された方に、内定をお伝えします。
給与や勤務条件のすり合わせについては、最終選考のあとに、別途あらためて面談の場を設けています。
選考フローの中には入れていません。ご不安な点は、その場で遠慮なくお聞きください。
入社後の試用期間については、漫画編集者の試用期間——ソラジマが契約社員から始める理由と、14週間で見ているものにまとめています。
契約社員として始まり、通過すると正社員に切り替わります。
なぜ、これだけのステップを踏むのか
「4週間、5ステップ」と聞くと、長いと感じる方もいると思います。
ふるいにかけて人数を絞るための関門が並んでいるように見えるかもしれません。
そうではありません。
私たちは、「優秀」な人を厳しく選びたいのではなく、一緒に「物語の力」を信じ届けきることができる方に出会いたいのです。
そして「合う」かどうかは、書類と1回の面接ではわかりません。
企画をつくってもらって、実務に近い場に一緒に立ってみて、現場の編集者と話してもらって、ようやく双方が判断できることです。
短い選考で入社を決めて、入ってから「思っていた仕事と違った」となるほうが、お互いにとって、はるかに不幸だと考えています。だから、時間をかけます。
倍率・就職難易度はどのくらいですか?
正直に言えば、高いです。
応募条件を未経験可・学歴不問と広く開いている分、応募いただく方の数に対して、内定に至る方は多くありません。
ただ、これは落とすための関門を並べているからではありません。この記事に書いたとおり、どの段階でも見ているのは編集の経験ではなく、創作への熱量と、考える力と、伝える力です。
収入の実際
選考の話とあわせて、条件も隠さずお伝えします。
ソラジマの漫画編集者の年収は、420万円〜1,700万円(上限は賞与込み)です。未経験からのスタートかどうかで決まるものではなく、ヒットを生み出した人が報われる設計になっています。
最後に
この記事でお伝えしてきたことを、一つにまとめます。
私たちが選考で見ているのは、あなたが編集者になれるかどうかではありません。あなたが、作品のために編集者という手段を選ぶ人かどうかです。
編集者という肩書きは、作品を創り届けるための道具にすぎません。
もし、この記事を読んで「その考え方はわかる」と思えたなら、選考でお会いできることを楽しみにしています。
経験は問いません。作品への執念だけを持ってきてください。



