1. トップ
  2. 経営・ビジネス
  3. 数年以内、「Webtoon」で必ず日本の誰かが歴史的コンテンツをつくる。それはおそらく、僕たち「ソラジマ」の編集者

経営・ビジネス

2023.11.01

数年以内、「Webtoon」で必ず日本の誰かが歴史的コンテンツをつくる。それはおそらく、僕たち「ソラジマ」の編集者

eye catch

2019年2月設立。YouTubeアニメを主戦場に、次々にヒットコンテンツを世に送り出してきたコンテンツスタジオ「ソラジマ」。

『女子力高めな獅子原くん【YouTubeアニメ】』ヤクザと目つきの悪い女刑事の話 - 『ヤク目』』など、YouTube、アニメ好きの方なら一度は目にした機会もあるはずだ。

こうしたソラジマが次なる戦いの場として選んだのが、カラーの縦スクロールマンガ「Webtoon(ウェブトゥーン)」。2021年8月の事業部設立と同時にリリースした『婚約を破棄された悪役令嬢は荒野に生きる。』は、漫画アプリcomico(コミコ)にて公開1週間でデイリーランキング&女性人気ランキングNo.1を獲得するなど、好調なスタートを切った。

「YouTubeアニメとWebtoonの創作ノウハウは共通する部分が多い。これまで積み上げてきた創作理論を使い、勝負できるのが僕らの強みです」

こう話すのが、ソラジマCOOの前田儒郎だ。さらにCEOの萩原鼓十郎はこう続ける。

「おそらく僕らほどWebtoonに本気でベットしている会社は、いま日本にはありません。ここで2022年、一気に勝負をかける。資金も人材も大量に投入し、まずは日本でトップへ。そして世界で戦いを挑んでいく」

なぜソラジマはこれほどまでに、Webtoonに力を入れるのか。そしてその勝算とは。

事業成功の鍵を握る「Webtoon編集者」として求める人材、いまだからこそ得られるその仕事のおもしろさとともに、共同代表の萩原・前田の2人に話を聞いた。

ソラジマには "ユーザーを熱狂させる" 創作理論がある

まずWebtoonへの参入を決めた理由について伺わせてください。


萩原:
まず大前提からお話すると、ソラジマは「誰もがバカにする、大きな夢を叶えてみせる」というログラインと、「今世紀を代表するコンテンツを創る-」というミッションを掲げています。

すでにYouTubeアニメの領域では一定の成功を収めることができた。ただこのミッションを実現するには一度や二度の成功では足りません。2回、3回、4回と大勝負に勝ち続けていく必要があります。

そこで次なる挑戦の場として、いま世界的にムーブメントが起きているWebtoonを選びました。

ソラジマ共同代表・萩原鼓十郎

前田:
まだ日本では馴染みのない方も多いかもしれないのですが、Webtoonは世界ですでに日本のマンガ市場5000億円と近しい規模になっています。

その上でさらに成長を遂げていて、爆発前夜ともいえる状態になっている。その波はいま、確実に日本にも押し寄せています。

たとえば2019年に公開された『俺だけレベルアップな件』という作品は、月間で2 億円に迫る販売金額となったと公表されました。さらにその配信元の電子書籍大手「カカオジャパン(ピッコマ運営)」は、2021年5月に約600億円の資金調達を発表し、8,000億円を超える企業価値が推定されるほどになった。

ただ市場としてこれだけの伸び代がある領域でありながら、日本はまだ本格的に参入できている企業が少ない。いまこのタイミングで勝負をかけることで、ソラジマが独走できる可能性も高いと考えました。

ソラジマ共同代表・前田儒郎

参入と同時にリリースした『婚約を破棄された悪役令嬢は荒野に生きる。』が、漫画アプリcomico(コミコ)でデイリーランキング&女性人気ランキング1位を獲得しました。参入からすぐにヒット作を生み出せた要因について、どのように捉えられていますか?


前田:
実は僕らが手がけてきたYouTubeアニメと、Webtoonの創作ノウハウはかなり共通する部分が多い。そこで積み上げてきたものを展開できたことが大きいですね。

そもそもWebtoonは「フルカラー」を前提としています。ここで週刊連載をしようと思うと、編集者と漫画家、二人三脚による従来型のつくり方では対応できません。そのためすべての工程を分業する「スタジオ型(※)」の制作体制を導入する必要がある。事実、この特性が出版社をはじめとした企業の参入を阻む要因となっています。

(※)スタジオ型ではプロデューサーである編集者のもと、「原作」「ネーム」「線画」「着彩」「背景」「仕上げ」すべての工程が別のクリエイターによって手がけられる。

ただ僕らは当初から「スタジオ型」によって、YouTubeアニメを制作していて。オペレーションの仕組みや細かなノウハウが社内に醸成されていました。

その体制・ノウハウを展開することで、ある種、畑違いのジャンルでありながら、スピーディに作品づくりを行うことができたと考えています。


萩原:
また僕らはYouTubeアニメの領域において、多くのヒット作をつくってきました。当然ここには、 "ユーザーを熱狂させるため" の創作理論がある。

ヒットするコンテンツのおもしろさの根幹はどこにあるのか。なぜそれをユーザーはおもしろいと感じるのか。

週に何回も社内で勉強会という形でディスカッションを重ね、PDCAを回し、 "おもしろいコンテンツをつくる" 技術を積み上げてきました。これは一朝一夕で身につくものじゃない。

もちろんWebtoonでもそれが通用するのか、不安もありましたが、一作目からヒット作を生み出すことができた。これは自信にもなりましたし、どんなエンタメのジャンルにも通用すると、確信を深めることができました。

日本でトップはあくまで通過点

続けて、これからの事業展開について伺わせてください。事業として、今後どういったことに注力されていく計画でしょうか?

萩原:
まず直近でいえば、2022年、大量のWebtoon作品のリリースを予定しています。

これは国内ではどの会社もやったことがない規模。おそらくこれだけの規模で作品を仕掛けられるのは、現時点で僕らだけ。ここで多くのヒット作を生み出し、日本のトップを独走する体制をつくりたいと考えています。

ただこれは通過点の一つ。あくまで僕らが見据えているのは世界です。これからどんどん世界で勝負を仕掛けていく。

いまとくにWebtoonでは、韓国・中国から、世界的な大ヒット作品が次々に生まれています。ただ日本はまだそういった作品を生み出せていません。

だからこそ、まず僕らがその前例をつくりたい。事業としても、国内ではなく、グローバルを前提に戦っていかないといけないと考えています。

前田:
そもそもWebtoon自体が、海外に展開しやすいモデルなんですよね。

具体的に、Webtoonは「ウェブ公開が前提」であり、作品のコマやセリフのレイヤーを分けてデータが制作されます。そのためセリフを翻訳すれば、スピーディに海外へ作品を展開できる。

これまで日本のマンガが海外で認知される最初の手段は、主にアニメ化でした。これは海外は日本ほど書店流通の仕組みが整備されていない国が多く、紙のマンガを広く販売していくハードルが高かったためです。

一方でWebtoonは物理的に流通させる必要がない。だからこそ映像化をはさまず、一気に世界で勝負していける。 "マンガ大国" である日本としても、勝ち筋のある領域だと捉えています。

とくにソラジマとして、どのように世界で勝ち抜いていこうと考えられているのでしょうか?


前田:
他の国にはできないことで勝負することだと考えています。たとえばその一つが、コンテンツから人気キャラクター(IP)を生み出していくこと。

実際に、いまWebtoonで圧倒的トップを走っている韓国の人気作品は、ほとんどが "設定もの" です。代表作である『梨泰院クラス』を見ても、"ズタボロにされた主人公が復讐する" 設定が人気の要因になっている。

日本がこれまでつくってきたような、ドラえもんやドラゴンボールの悟空、ワンピースのルフィといった世界的IPはまだ生まれていません。

こうした巨大IPをWebtoonで生み出せれば、おそらく世界で勝ち抜ける。ソラジマとしても2022年以降のチャレンジと定めています。

萩原:
僕らが対象としているのが、デジタル領域におけるエンタメコンテンツ全般です。WebtoonでIPが生み出せれば、もちろんその他のメディアにも展開していく。

これは一つのIPを社内でYouTubeアニメにもするし、映画にもするし、音楽にもしていくということ。すでに新たなメディア事業部の立ち上げも進んでいます。

一つのメディアにとどまらず、第二の矢、第三の矢と準備できているのはソラジマの強み。また働く上でおもしろさを感じられるポイントでもあると考えています。


「0.1%」世界を熱狂させるコンテンツをつくる可能性があるか

次に、現在採用を行っている「Webtoon編集者」について伺わせてください。採用対象者として、「マンガ編集未経験での中途採用」「学生インターン」と広く門戸を開いています。ここにはどういった背景があるのでしょうか?


前田:
そもそもマンガ編集に関われる人って、本当にごく一部なんですよね。

大手出版社を見ても、新卒で採用されるのは10人程度。この仕事にどれだけ強い熱意があって、すさまじい能力があっても、叶わない人がごろごろいる。

これってものすごくもったいないことだと思っていて。こうした人たちが存分に能力を発揮できる場を提供できれば、おもしろい作品をもっと世の中に送り出していけるはず。

だからこそソラジマでは、経験の枠組みで限定せず、純粋にその "人" 自身を見て、判断したいと考えています。

とくにその判断基準として、どういったポイントを重視されているのでしょうか?


萩原:
ストレートにいえば、『イカゲーム』や『梨泰院クラス』のような、世界を熱狂させるコンテンツを生み出す可能性を "0.1%" でも感じられるか。

その上で最も大事な要素が、どれだけ本気で "おもしろいコンテンツ" をつくりたいと思っているか、モチベーションの部分だと考えています。

僕らがミッションとしているのは、「今世紀を代表するコンテンツを創る-」ことです。それはおそらく、編集者の狂気的なモチベーションからしか生まれない。

だからこそ最終的にそれをつくるんだ、という強い信念がなければ難しいし、働く上で中途半端な成功で満足してほしくないと考えています。

前田:
その可能性を見極めるために、僕らの選考は他社と比較してもかなり厳しく設計しています。

たとえば選考では、通常の面接はもちろん、オリジナルの企画プレゼンや分析試験、さらに学生だと2週間程度、実際の業務を行ってもらうこともある。

これはただ口で話すことと、実際の行動には圧倒的な差があると考えているからです。

本気で世界を熱狂させるコンテンツをつくりたいと思っているのか。その覚悟が本当にあるのか。

それは一つひとつの行動、生み出したアウトプットに宿るもの。一つの可能性も見逃さないように、しっかりと見定めたいと思っています。

萩原:
この選考をクリアし、可能性があると思える人には、僕らは惜しみなく、その能力を発揮できる環境を提供していきます。それはお金もノウハウも裁量もすべてです。

たとえば学生インターンであっても、社会人と同じだけの報酬を用意しますし、500万円でも1,000万円でも作品をつくるために必要な予算を用意する。将来的に大手出版社でマンガ編集の仕事をしたいという人でもかまわない。僕らのノウハウをすべて渡します。

だからこそ、 "おもしろいコンテンツをつくりたい" と強い熱意を持つ人には、ぜひチャレンジしていただきたいですね。


ソラジマの編集者が、最もバッターボックスに立てるチャンスがある

お話を伺い、ソラジマは非常に人材を大切にしている会社だと感じました。とくにその人材が能力を発揮できる仕組みとしてどういったものがありますか?


萩原:
僕らは仕事上で必要な意思決定について、ほぼすべてを社員それぞれに委ねています。

たとえば新しい作品をつくる上で、予算が500万円必要だとなっても、僕たち経営陣の承認を取る必要はありません。「今世紀を代表するコンテンツを創る-」ソラジマのミッションを達成するためにベストだと思うなら、自分の裁量で判断してもらっていい。

これは社員は全員、厳しい選考を通過したプロフェッショナルだと考えているからです。だからこそ、それぞれの自由と責任のもと、より高い成果を出すことに挑んでほしい。

もちろん、その上で失敗してもかまいません。やりすぎてちょっと経営陣がブレーキを踏まないといけないくらい、どんどんやってほしいと思っています。

前田:
僕らのカルチャー(行動指針)の一つに、「Why No Feedback」というものがあります。

これはお互いをプロフェッショナルとして信頼して、積極的にフィードバックを出し合おうというもの。フィードバックする相手の立場は関係なく、ここには僕たち経営陣も含まれます。

このカルチャーがあるからこそ、判断に迷ったときは周りに意見を求められますし、間違った方向に進んでいるときは誰かからフィードバックが飛んでくる。また頻繁にフィードバックを交わすことで、能力密度は濃くなり、組織としても強くなります。

自由と責任のもと、プロフェッショナルとして高い目標に果敢に挑んでいく。細かいルールではなく、周りからのフィードバックによって能力を補完する。

この循環によって高めあう人材・組織が僕らの強みであり、「今世紀を代表するコンテンツをつくる」ミッションを実現するための最も重要な力だと考えています。

とくにいまソラジマの「Webtoon編集者」として働くからこそ、得られる仕事のおもしろさについてどのように捉えていますか?

萩原:
ソラジマは社内で、Webtoonの制作工程をすべて一気通貫で行っています。その上で、前例のない規模で作品を投下していこうとしている。

ここまでWebtoonに本気のベットをしている会社は、おそらく日本にはありません。

2022年、一気に日本の頂点へ駆け上がっていく。そして世界に勝負を挑んでいく。これは編集者として非常にエキサイティングな環境であるはずだし、いましかできない経験でもあると思っています。


前田:
Webtoonは間違いなく、これから数年で大きな波になる。それは日本だけでなく、グローバル全体です。

ここで必ず日本の誰かが、歴史的な作品をつくるはず。

そう考えたとき、いま一番バッターボックスを用意しているのはおそらく僕たち。当然、一番打席に立てるのはソラジマの編集者です。

単純計算として、ホームランを打てる確率も最も高い環境にある。ここにワクワクできる方には、絶好のチャンスが広がっていると思います。


世界中で50年後、100年後も残り続けるコンテンツをつくりたい

最後に、ソラジマとして目指されているビジョンについて伺わせてください。


前田:
もちろん僕らは株式会社なので、確実に利益を生み出していく必要がある。また今後上場も視野に入れていくなかで、グローバルヒットを持つコンテンツスタジオとして、社会の公器となっていきたいと思っています。

ただその前提の上で、やっぱり自分たちのコンテンツにずっとワクワクしていたいんですよね。

たとえば『イカゲーム』のようなグローバルで爆発的な人気コンテンツに毎年チャレンジして、これはどれだけ世界でバズるのか、みんなでワクワクしたり。自分たちがつくった映画がアカデミー賞にノミネートされて、ハラハラドキドキしたり。

これは10年後くらいには、実現したい未来ですね。


萩原:
"ソラジマは日本の誇りだよね" といわれるような、会社にしていきたいです。

たとえば僕は昔、海外旅行に行ったときに見た、『ポケモンGO』に熱中する人たちの姿がすごく印象に残っていて。日本のコンテンツがこれほどまでに世界の人たちに認められているんだと、誇りに思う瞬間だった。

僕らも地球の裏側まで届くような、50年後も100年後も残り続けるような、コンテンツを生み出したい。これは何年かかろうが、必ず成し遂げていく。そのためのチャレンジを、恐れることなく、みんなで仕掛けていきたいです。


最後まで読んでいただきありがとうございました。

この記事をシェア

facebookhatena bookmark

公式SNSをフォロー

instagram