編集者
2024.12.31
「自分にはないもの」を探すため!?ソラジマ編集者がクリエイター向けコンテストを開催する理由
はじめに
こんにちは!デジタル漫画出版社のソラジマ広報チームです。
クリエイターの方々とのコミュニケーションや書店とのやりとりなど、裁量の大きいソラジマ編集者の業務は多岐に渡ります。
実はソラジマ編集者は、才能あふれる新たなクリエイターさんを発掘するため、チームなどで独自にクリエイター向けのコンテストも開催しているのです。
そこで今回は、それぞれタイプの違うコンテストを開催した経験がある編集者3名に、コンテストを開催する理由や、コンテスト審査で必要になる要素などについてお聞きしました。
【今回お話を聞いたのはこの3名】
・中村 加奈さん 漫画家のための『縦スク漫画賞』
・桝平 衣梨さん 5秒でキュンするタテ読み漫画コンテスト オフィス編
・わかさん 読み切りネームコンテスト
この記事はこんな人におすすめ ・ソラジマ編集者の業務内容を詳しく知りたい |
---|
コンテストによって開催理由も応募条件も違う!
——皆さん、それぞれジャンルや応募条件が異なるコンテストを開催していますが、コンテストを開催した理由やきっかけを教えてください。
中村 加奈さん(以下、中村):ソラジマの中で、クリエイターさんの才能を発掘するきっかけとして、多くの読切作品をリリースしていこう!という機運が高まっていたことが理由です。
私が担当したコンテストは「漫画家のための『縦スク漫画賞』」と銘打っているのですが、これは、これまで商業誌・同人誌にかかわらず、横読み漫画を描かれていた方にも多く応募していただけたらなと思ったところからつけたコンテストタイトルです。今までのWebtoonとはやや作風が違う方の作品をつくることで、ソラジマ作品に幅が生まれればと思ったので。
わかさん(以下、わか):コンテストの開催目的としては、「読み切りネームコンテスト」も同じです。
僕のチームは以前からいくつか、ソラジマにクリエイター登録されているクリエイターさんを対象にコンテストを開催しているのですが、一度「ネームでの応募もOK」にしたところネームで応募してくれる方も多かったので、「じゃあ今回もその条件でやってみようか」と。
桝平 衣梨さん(以下、桝平):逆に、私が担当した「5秒でキュンするタテ読み漫画コンテスト」は、第一回は完成原稿であることを応募条件にしていました。完成原稿でもご応募しやすいよう10コマ以内というコンパクトな条件にしていましたね。
——5秒でキュンの舞台を、オフィスに限定した理由はなんなのでしょうか?
桝平:ソラジマはロマンスファンタジーなどの作品数が多いのですが、現代恋愛ものはまだまだ開拓途中なんですよね。今後メディアミックスの可能性なども考えると、作品の幅を広げていきたいジャンルです。
オフィスは現代恋愛ものの定番ということもあって、シーンとして採用しました。
——今回、それぞれのコンテストを開催してみての所感を教えてください。
中村:これまでソラジマではあまり出していないジャンルを得意とするクリエイターさんが多く応募してくださった印象がありますね。
あとは、お一人ですべて描かれているクリエイターさんにご応募いただいたコンテストだったので、「物語を完成させる力」というものがすごくある方が多かったです。
桝平:5秒でキュンするコンテストに関しては、タイトル通りコマ数が少ない中でキャラクターや関係性の魅力、フリ落ちを巧みに演出していただいた作品が多い印象です。元々少女漫画を描かれている方や商業経験がおありの方も多くいらっしゃいました。その中でも、賞に選ばれた方は新鮮な切り口での「キュン」表現が光っていらっしゃいましたね。
わか:ネームコンテストは、クリエイターパートナー部が告知を頑張ってくれたおかげで、すでにソラジマにクリエイター登録されているクリエイターさん以外からの応募も多かったです。半数以上が登録者以外のクリエイターさんでした。
——登録されている以外のクリエイターさんの応募が多いと、作品傾向は変化するのでしょうか?
わか:作品の傾向自体はあまり変わらないと思います。ただ、ジャンルを絞っていないコンテストだと、ジャンルにあまり囚われていない、ジャンルの垣根を超えたような作品の応募が多い印象ですね。
コンテストは編集者にもメリットが大きい
——コンテスト開催で苦労された部分はありますか?
桝平:コンテスト概要を決めるところが一番大変でした。
作品を応募したい、挑戦できるかもと思ってもらえる文言や応募条件を考えることに一番悩みましたね。
わか:ネームコンテストでも、コンテストのコンセプトについてはかなり議論しました。応募の条件などは、応募数にも影響しますし。
大きめの規模でコンテストをしたのはこのネームコンテストが初めてだったこともあり、CP部の方々にプロモーションしてもらったり応募サイトに載せてもらったりと動いていただく一方、担当しているクリエイターさんたちに「興味ある方がいたら……」とお声がけをしてもらうなどもしていました。
——逆に、コンテストの開催で嬉しさや感動を感じたことはありますか?
中村:コンテスト開催で一番嬉しい瞬間はやはり、応募してくださった作品を読む瞬間ですね。本当に、想像を超えるようなアイデアが詰め込まれた作品がたくさんあるんですよ。
縦にスクロールするというWebtoonの特徴を楽しみながら描いてくださっているのが伝わると、なお感動します。
わか:さまざまなクリエイターさんと出会えることもそうですが、ジャンルなどに制限を設けない中で応募してくださった作品は、そのクリエイターさんの“らしさ”のようなものが詰まっているんですよね。コンテストは、そういった作品にたくさん触れられる感動があります。
桝平:想像を超えていくようなクリエイター様発のアイデアやセンスに出会えた瞬間は感動しますね。
今回の5秒でキュンするコンテストは、テーマを絞った中でやったからこそ、クリエイターさんそれぞれの切り出し方の違いがわかりやすかった部分があるように思います。
中村:コンテストは、普段仕事をしている中で「漫画ってこういうものだ」となんとなく固まってしまっている思考に対して、クリエイターさんから提案をもらうことができるんですよね。
「まだまだこんなことができるんだな」という驚きをもらうことが多いです。
——コンテストは一見、クリエイターさんがチャンスを得る場のように感じますが、編集者側にもメリットが多そうですね。
中村:オールジャンルコンテストの場合は、これまでソラジマが制作していた作品のジャンルでは出会えなかったクリエイターさんと出会えるというメリットが大きいかもしれません。
すでにソラジマにクリエイター登録してくださっている人でも、私たちがまだ出会えていない、才能を発掘できていない方がたくさんいます。
桝平:そうですね。コンテストはクリエイターさんの視点が広い状態で応募いただけるので、「まだ誰も見たことのない発想の作品をいち早く見つけて世に出せる」という新鮮な喜びがあります。
わか:すでに生まれている作品に出会えるのもメリットですね。
編集者が、どんな作品を描くのかまだわからないクリエイターさんに声をかけて、ゼロから作品をつくっていくのではなく、すでに作品がある状態なので、作品の方向性やクリエイターさん本人との関わり方などが決めやすくなります。
また、作品として世に出すまでのスピードが早い、というのもメリットかもしれません。ネームコンテストだと、すでにネームまでができあがっている状態なので。
コンテストの審査、編集者はどこを見ている?
——コンテストの内容にもよるかと思いますが、どのような部分を見てコンテストの審査をされているのですか?
わか:まず大前提として、面白いかどうか、ですね。
桝平:そうですね。面白いかどうか、読みづらいと感じるところがないかどうかもポイントになります。
5秒でキュンするコンテストは、10コマという短い設定と完成原稿という応募条件があったので、その部分にも審査のポイントがありました。
まずは、短いストーリーの中で「キュン」という感情を盛り上げられるかというネーム技術。もう一つが、キャラクターに合った作画や着彩技術など、完成された作品としてのクオリティの高さです。
中村:私は、脚本やネームと作画がマッチしているかどうかを見ています。今回、お一人で原作から作画までやられている方を対象にしているので、その方の思いが最後までしっかりとアウトプットに反映されている作品は賞に入れたくなりますね。
あとは、私たちの想像を超えてくれる作品だと、選びたくなってしまいますね。
——コンテストの審査をする際に、編集者が持っておいたほうがよい要素や考え方はありますか?
わか:コンテストに限ったものだと難しいですね……。
あえてあげるとすれば、応募作品からそのクリエイターさんが何を考えて過ごしている方なのか、何を大切にされている方なのか、という部分を読み取る力でしょうか。
応募いただいた作品をただ審査対象として見るのではなく、クリエイターさんが考えていることや思いを作品としてお預かりしているという意識は必要かなと思いますし、僕自身はそう考えながらコンテストの審査を行っています。
——コンテスト作品を審査していて、「この作品をつくったクリエイターさんを担当してみたい!」と感じる作品はどのような作品ですか?
中村:自分自身がいち読者として楽しめる作品ですね。
自分には思いつかない突拍子もない展開やオチがあると、よりそう感じることが多いかもしれません。
わか:もし、同じくらいの面白さの作品が複数あった場合、より個性が際立っていて、僕自身が「この作品をつくった方と一度お話してみたいな」と感じる作品を応募してくれた方に作品づくりのお声がけをする気がします。
桝平:「この登場人物たちのストーリーをもっと読みたい!またこの子達に会いたい!」と率直に感じた作品です。短いストーリーながらも、キャラクターのディテールがつくり込まれていて、人物像や背景が見えてくる作品なのだと思います。
そういった作品を作られたクリエイター様に次の作品のお声がけをしたいなという気持ちが湧きます。
コンテスト受賞者の作品を担当する際に気をつけていることとは?
——コンテストから読切作品の制作などにお声がけする際、クリエイターさんとのコミュニケーションなどで気をつけているポイントはありますか?
桝平:クリエイター様自身から湧いて出てくる表現などを大事にしたいので、こちらがあまりディレクションを加えすぎないようにすることを心がけていますね。
中村:私も同じです。
一人で作品を描いてオールジャンルのコンテストに応募いただいたクリエイターさんの場合は、その方の描きたいものをなるべく邪魔しないようにディレクションしています。編集が入ったことで、クリエイターさんの中で「何か違う……」と感じる作品になるのは避けたいですね。
わか:最初から最後まで一人で描いて応募いただくコンテストの場合、その方の感性を大事にした状態で進めないとつくる意味がないと感じます。
ただ「面白くするために直しを入れる」というより、なぜこの作品をつくったのか?という部分をしっかりヒアリングして、その軸をぶらさないようにフィードバックしていますね。基本的には、わかりづらい文言になってしまっている、少し見にくいかも、というフィードバックをしているイメージです。
あと僕が心がけているのが、コンテスト後に描いていただく読切作品が、そのクリエイターさんにとってどのような意味を持つものになるのか、何につながるのか、ということを考えるようにしていますね。
読み切りは連載作品と違って、売り上げによる報酬がありません。なので、読切作品によってクリエイターさんが得られるであろう糧を必ず設定した状態で、制作したいと思っています。
おわりに
日々、作品をクリエイターさんとともにつくり上げ、世に出していくだけでなく、コンテスト開催でクリエイターさんの才能を発掘するのもソラジマ編集者の重要な業務です。
才能あるクリエイターさんを探し出しタッグを組むことで、担当する作品の幅も広がります。
ソラジマでは、編集者同士だけではなく、コンテストなどからクリエイターさんからの刺激をもらいながら仕事ができる環境があります。
ソラジマでは、一緒に一緒に「今世紀を代表するコンテンツ」創ってくれる方を募集しています。私たちとともに、「誰もがバカにする大きな夢」を叶えてみませんか?
▶︎▶︎▶︎ 編集者の採用情報はこちら ◀︎◀︎◀︎
▶︎▶︎▶︎ クリエーター職の採用情報はこちら ◀︎◀︎◀︎
▶︎▶︎▶︎ 各種選考基準はこちら ◀︎◀︎◀︎