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2024.03.06

編集者が語る!Webtoon制作工程-後編-ネーム・線画・着彩・仕上げの秘訣

縦読みマンガWebtoonの世界的ヒットを目指すソラジマ。ソラジマ編集部では、編集者の三木とかぬ(櫻井)がTwitterスペースで配信中の「#ソラジマWebtoonラジオ」。Webtoonの企画の作り方や制作工程、創作のウラ話について語っています。後編ではネーム制作や線画、キャラクターデザイン、背景、仕上げなどの工程についてお届けします!

1)シナリオ以降のWebtoon制作工程とは?

ソラジマのWebtoon制作工程は、企画(シナリオ)→ネーム→人物線画→着彩→背景→仕上げの順に進んでいきます。後編ではネーム制作以降のクリエイティブについてご紹介します!

ネーム作家は読みやすさが大事

かぬ(櫻井):ネーム作家さんへのフィードバックで多いのは、魅せゴマの意識だと思っています。目立たせたいコマが読者に刺さるような見せ方になっているかどうか。とはいえ、魅せゴマが多すぎたり少なすぎたりしても良くないので、魅せゴマを起点として展開の緩急をつけられているとか、コマサイズのバランス感がしっかりできていることですね。

僕が担当しているのが男性向けファンタジー作品なので、ネームではとにかく構図を見せることにものすごく注力しました。例えば、戦闘シーンが流れるように続いて、後半にアニメみたいな描写がくるとか。三木さんは?

三木:Webtoon制作ってとてもお金がかかるので、ページ枚数もシビアになるんですよね。なので読者体験として、なくても成立するコマがあったら削ってしまって、ページ数を削減しようっていう意識はありますね。

かぬ(櫻井):確かに。なくても成立するコマが物語の緩急が生まれなくなっている原因になってることも多いですよね。

主人公のかっこよさは線画作家にかかっている

かぬ(櫻井):次は線画ですが、ネームと同じく見せゴマをいかに迫力を出して見せられるかっていうのは、シビアにやり取りさせてもらっています。男性向けだと、読者となる男性たちが興奮する一番かっこいいコマみたいなのはやっぱりありますから。

あと、男性向けファンタジーの場合、アクションシーンの人体構造を適切に描ける方は強いですね。Webtoonは素早くスクロールさせながら読むので、流れるように見ても違和感を感じない構図やパース、かっこいいポーズが描ける方はぜひ、ネームや線画を描いてみて欲しいです!あと、他に大事にしているポイントとして、まず顔から見るようにしています。顔から入ってくる情報や印象ってめちゃくちゃ強いので。

三木:私が作ってる不倫モノの作品では、人物線画については、いかにイラつく顔をバリエーション豊かに描けるかというのを考えて、一番マッチする方にお願いしました。フィードバックさせていただくこととして、表情の解釈違いが起こることがたまにありますね。

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https://www.cmoa.jp/title/248387/

 作品のテイストを決める着彩作家

かぬ(櫻井):線画の次は着彩です。僕が一番重視しているのは、作品のトンマナを意識して着彩できているかどうかですね。『コピースキルの最強魔導師』と言えばこの色だよね、というのを読者に印象付けたいという意図があるので、作品がそこから外れたトンマナになっていないかというのは見ています。

三木:細かいところになりますが、モブキャラがメインキャラと色かぶりしないようにっていうのは考えています。あとはジャンルごとの特性もありますよね。俺TSUEEE系だとかなりパキッとしたアニメ塗りが多いと思うんですが、不倫モノだと水彩タッチの作品も多いです。

私が担当させていただいている『余命3ヶ月のサレ夫』は、横読み主流のプラットフォームとの相性も考えて、読者に刺さりやすい水彩タッチを選びました。

作品の世界観を伝える背景の重要性

かぬ(櫻井):男性向けファンタジーでは、ダンジョンや謎の近未来的な建物だとか、いかに認識をすり合わせ、議論を重ね、理想像を作っていくかっていうのが背景制作段階のポイントだと思っています。

三木:背景は描くのが特に大変なので、描き始める前にこれでいいのかっていうやりとりをしっかりすることが多いですね。コマには、キャラクターの身長が伝わる塗りだけでいいコマと、舞台設定が分かるように具体的な背景を入れるコマの2種類があると思ってるんですが、そこがうまく伝わっていなかったことがあって。初回のやりとりの時は明確な指示出しをしないと分からないよなっていうのは、私も反省したことです。

かぬ(櫻井):認識違いはよく起こるので、初期段階の指示出しの時は、ネーム作家さんに効果背景のところは効果背景だって分かるように印を入れてもらうようにしています。作品によって背景のトンマナも変わるじゃないですか。なので、作品の世界観に沿った背景になっているかみたいなことも、まず考えないといけないです。あとはパース。ちょっと角度がずれただけで主人公が着地してないように見えてしまうので、そこは注意が必要です。

心が思わずはしゃぎだす仕上げの効果

かぬ(櫻井):男性向けファンタジーで外せないポイントとして、魔法のエフェクトなどの仕上げの作業があります。男性読者層がワクワクするエフェクトを作ることは、ものすごく意識していて、反射の少ないのっぺりした塗りよりも、光らせるみたいに彩度の高い明るい色を割と使っています。とはいえ、エフェクトがノイズにならず、きちんと作品が引き立つものになっているかは重要なこと。作品のトーンに沿った上で、バシッと輝くエフェクトを仕上げていただくことがよくあるので、その度に、すごいものが上がってきたなぁと驚かされます。

櫻井担当編集作『コピースキルの最強魔導師』

三木:不倫も含む現代モノだと、エフェクトは限定的になります。よく出すのは決めゼリフの吹き出しの色を変えることですね。あと、白背景がずっとつづくと結構寂しいので、シーンに合わせて色を変えたり、あしらいを入れてもらって導線を調整したりすることもあります。吹き出しの配置やコマの導線で、縦スクロールしている間も視線が左右にちょっとずつ動くイメージです。仕上げによって最終的な完成原稿として読者に届くので、ノイズになっていないかっていう観点でのチェックもしています。

三木担当編集作『余命3ヶ月のサレ夫』原稿

キャラクターデザインはターゲットとの相性が大事

三木:キャラクターデザインについては、1つの企画に対して4~5人くらいの方にお願いしてから、最終的に一つに絞ってますが、作品のターゲットに刺さるタッチかどうかをとても大事にしています。

かぬ(櫻井):そうですね。小年誌には少年誌の、大人女性向けには大人女性向けのタッチがあると思うので、まず絵が合う方を探しにいき、そこからいかに共通認識を作るかを重要視しています。発注させていただく側として意識しているのは、これはどういうキャラでどんなイメージが理想像なのかを解像度高く、言語化して伝えられるかということ。そこをキャッチアップしていただいて、お互いの共通認識を形成できるかみたいなところが大事な気がしますね。

全工程での作画作家さんの選び方のポイントとしては、ふだん制作されているポートフォリオを拝見した上で、作品との親和性をまず最初に見させていただいています。ポートフォリオの充実という意味では、枚数が多いと参考材料になりえるので助かりますね。

2)一緒に仕事をしたいクリエイターとは?

かぬ(櫻井):最後に我々編集者が心強いと感じるクリエイターさんについてですが、インプットとアウトプットに対して前向きに取り組んでくださる方だと、いいものを生む会話が増えてありがたいと感じます。

あと、分からない時に、どう分からないのかを言語化してくださる方はスムーズですね。フルカラーの作品を週刊連載するってスケジュールがかなりシビアなので、困ったらすぐに相談してもらいたいなと思っています。他に、フィードバックループをガンガン回して、「正解ってなんだろう?」という答えのない問いに一緒に走っていただけるかも、僕はけっこう重要視しています。Webtoonは癖が強い業界なので、初手から模範解を出せる方って、僕含めていないですから。

三木:私はこの人のために作品をヒットさせたいって思わせてくれる人柄ですかね。弊社の報酬制度的に、企画作家さん、ネーム作家さん、線画作家さんにはロイヤリティーが発生しますよね。なので、何とかヒットさせて彼らに還元したいっていうのが、私のモチベーションになるかどうか。お互いに気持ちよく仕事ができる関係性になれそうかなっていうところは見させてもらってます。

私は採用前に好きな作品について語り合う時間を取るようにしてるんですが、そこで共通認識が作れるとお互いの感動ポイントが分かって、その後のクリエイティブがすごく楽になると思っています。Webtoonは集団制作だから、コミュニケーションが大事ですよね。作品のジャンルとクリエイターさんの能力がマッチしていると強いですし。

Webtoonは新しいジャンルで日本ではまだ黎明期。これからもどんどん新しいことにチャレンジしてワクワクしていきたいですね!

3)ご質問やご感想は #ソラジマWebtoonラジオ で!

Twitterのスペース機能を使って、ソラジマ編集者の三木とかぬ(櫻井)が隔週でお届けしている「#ソラジマWebtoonラジオ」。作品への応援コメントやWebtoon作品についてのご質問などなんでも受付中なので、ぜひ、#ソラジマWebtoonラジオをつけてTwitterでつぶやいてください!

過去の放送回のアーカイブはこちら▼

https://twitter.com/i/events/1575415054450958337?s=20

三木(ソラジマ編集者)
担当作品:『余命3ヶ月のサレ夫』
Twitter:https://twitter.com/morimelon2

かぬ・櫻井(ソラジマ編集者)
担当作品:『コピースキルの最強魔導師』
Twitter:https://twitter.com/canu_webtoon

執筆:みじんこ
世界を旅する黄色いイキモノ「みじんこ」コルクラボマンガ専科7期生
Twitter:https://twitter.com/mijin_combi

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