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2023.11.01

【資金調達対談】なぜ、ソラジマは組織カルチャーに投資をするのか?——サイバーエージェント・キャピタル 北尾崇

eye catch

「誰もがバカにする、でっかい夢を叶えてみせるーー。」をミッションに掲げるソラジマ。今回、ソラジマではシリーズBで約10億円の資金調達を実施した。

株式会社ソラジマ、総額約10億円の資金調達を実施株式会社ソラジマのプレスリリース(2023年3月22日 11時00分)株式会社ソラジマ、総額約10億円の資金調達を実施prtimes.jp

スタートアップ冬の時代、WEBTOON市場では異例の「10億円」という資金調達を可能にしたソラジマ。ソラジマに投資した投資家3名との対談を公開する。

サイバーエージェント・キャピタル 北尾崇

対談動画はこちらから

組織開発の極意


前田:今日はサイバーエージェント・キャピタルの北尾さんに来ていただいています。

前田:僕は株式会社SORAJIMAの共同代表の前田です。Webtoonという縦スクロール漫画を世界中に配信するという事業をやっています。

特にエンタメというだけあって、僕らも結構組織にかなり投資を してるという意識ではあるんですけれども。

「どうしてスタートアップは組織カルチャーに投資をすべきなのか」っていうテーマでお話をし たいと思ってます。

北尾さんはちょうど3年ぐらい前に、僕らがTwitterでDMさせていただいたんですよね。

北尾:そうですね。

前田:当時、僕らは何もなかった……本当どシードの中で会ってくださって。で、Abemaタワーの高さに圧倒されながら「ちょっと怖いな」と思いながら入って……。
お話し聞いて くださって、その時に出資を決めてくださっ て 今に至りますというところで。

北尾さんが、シード 期、アーリー期の会社さんに投資をして
50社ぐらい担当されてるんですかね?

北尾:そうですね、50近くになります。

前田:かつ、シード 期・アーリー期に関わらず
その後ミドル・レイターまでしっかり見て
かなりいろんな事例をご存知なんじゃないかなと思います。

北尾:そうですね。出資自体はシード・アーリーでやってます。
サイバーエージェントグループのサイバーエージェントキャピタルとしてやってるので、
やっぱりサイバーエージェントの持っているいろいろ、人事ノウハウ・助ける部分はミドル・レイターでも多いかな と思っています。

それもあってミドル・レイターの取締役会などにも出させていただいています

前田:僕らは僕らで結構組織に力を入れてるつもりなのですが、北尾さんがご存知の知見でディスカッションすることで、僕としてはさらに学びたいと思ってます。いい議論になればなと思ってお招きしました。よろしくお願いします

北尾:よろしくお願いし ます。

前田:「スタートアップ」って言われる業態で「組織カルチャーに投資をしろ」と、すごいいろんな施策をすべきということは聞いたりするんですけど……そもそもなんで組織カルチャーに力を入れなきゃいけないんですかね?

北尾:そうですね。僕らも投資するときに、やっぱり「事業・ビジネスは人が作るもの」だと思っていて、人に投資をしているウエイトはかなり大きい
これは 組織が大きくなっていけば経営者は事業を 直接見る機会も 減ってきて、だんだんこう部長の方だったり現場のマネージャーメンバーの方が見ると思うんですけど
やっぱり人が事業を作っていくって意味では同じかなと思っています。

ソラジマ自体のビジネスはwebtoonとかクリエイティブとか、やっぱり人が作っていくものがベースになってそうですね。

前田:そうですね。

北尾:このプロダクトさえあれば勝手に伸びてくっていうビジネスをまああると思うんですけど。そうじゃないんで。

前田:確かに。

北尾:人の開発とか、人の才能の開発、人の生かし方の研究とかは多分すごいしているんだろうな。

そこは無意識で、かもしれないけど、他のベンチャーよりもかなり多分早いフェーズで意識的に持ってんじゃないですかね


前田:確か にそうかもしれないですね
エンタメ領域 って 結局その人が作る。かつ、そのワンプロダクト でそれをみんなでこう押し上げていこう、というわけじゃなくて、それぞれが自分の作品を作るというある意味独立友軍が全員揃っ てるみたいな感じなんですよね

1個の コンテンツを作ってるわけじゃないし コンテンツが何十個もあって全部見きれ ないし
何に向き合うべきかっていうと人だなっていうのがあって
人に向き合えばそれ が共通解として各コンテンツに響いてくるみたいな感じで

かつそのレバレッチって言うんですかね
本当に人に向き合ってその人誰かがこう超覚醒してスーパーヒットを産んだら 全てが覆るって世界じゃないですか。コンテンツ業界って。だから自然と人に投資 するっていうのは結構確かに事業モデルゆえのってのはあるかもしれないですね

ソラジマでいわゆる「カルチャーデック」っていうものを導入したのは、フルコミットメンバーが8人ぐらいだった時期に導入したんですよね
組織カルチャーとかカルチャーテック みたいに導入するフェーズとして大体どの ぐらいが平均的なものなんですかね?

北尾:会社ごとにビジネス内容が違うんで、必要を感じるタイミングも違うと思うのですが、「やるべきだと感じた時に」

多いのはまあ 30とか50とか。ちょっと1on1が代表1人しづらくなったタイミング。ちょっとずつ資料だったり文字とかで伝えることが増えてってるかなっていう気もしたりしますね

前田:そうなんですね。30とか50って、パッと聞いた印象としては結構遅いというか。よくそこまで1on1で頑張れるなっていう尊敬とともに驚きがあったりして。僕らの場合はその確かに今おっしゃった通り必要に駆られたというところがあるのかなって思ってて。

僕らはもともとそのYouTubeで アニメーションを作るって事業をしていました。ちょっとこの市場の伸びが 止まりつつあってピボットをしてるかどうかっていう検討してた時代があって。
僕らは今やってるwebtoon事業にこう経営陣がフォーカスしてやらなきゃいけないって時がありました。

YouTubeアニメも YouTubeアニメで それなりに成果が上がっていたので、すぐ辞めるわけにはいかないしってことで、担当者に任せたんですよね。「一切見ないから!」「Webtoonだけやる!」って言って。

任せたからこうコンテクスト、何に沿っていけばいいのかみたいなものを伝えなきゃいけなかった。必要に駆られた、というのがあったかもしれないですね。

ソラジマの組織カルチャー

ソラジマの3つのカルチャー

前田:たまたま僕らは組織カルチャー大きく3つ上げていた。1つ が「Be a Proって」。
僕らは家族じゃなくてプロスポーツのような集団だから、高い目標を追いかけて、目指している以上は、みんなでチームワークを大事にしてお互いに思いやりがあるけども家族みたいに何でもかんでも
無償の愛があるわけじゃないよねっていう
あくまでも本当トップを目指して頑張っ てるんだよねってことで 常に相手に刺激を与えられ続けてるかっていうところ

あとフィードバック文化ですね 思ったことは言うっていうので 結構仕事しててモヤる時ってあるじゃ ないですかなんかちょっと今日のあいつの この発言結構モヤってるなあみたいな 怖かったなとか ムカついたなとかっていうのを重ねていく と心が離れていくなっていうところから 思ったことはできる限り早く相手に伝えようっていう。

北尾:なるほど。

前田:それもまあ一応相手 を思いやった口調をちゃんと選んでって ことで
あと最後3つ目が「ルールを伝えるんじゃなくて 背景を伝えよう」という風にして これこれはしちゃいけないいけませんじゃ なくてこれこれこういうことが起きてます あと考えてくださいみたいな 背景を伝えようとこの3つを導入した結果 結構バチッとフィットして最初からもう 組織は覚醒した感じがあったんです。

北尾:2つ目・3つ目とか、すごくあるようであんまないかもと思って。めちゃめちゃ大事だなっていう意味で、特にその3つ目ってなんか必要性に駆られてそれを用意したんですか?

前田: 必要性かなと思ってて。
2つあって、元々のそのそもそもの前提と なる願いとして
僕と萩原がこうマジで超 大きい会社を作りたいと思ってたんで
その 時にいつかは僕らが 死ぬこともあるだろうっていう考えから、僕らがいなくなっても組織がこう それぞれものが覚醒していけるような状況 を作りたいっていうのがあった

やっぱり ピボットするかどうか悩んでる時に完全に 当時の既存事業を全部任せたっていう ところ。

まさに同じ状況ですよね僕と萩原がいなくなった状況でやってみっていう 状況でやるときにルールって全てに当てはまるルールはないんですよやっぱり。

もう現場でも戦争じゃないですか。何が起きてもいつ何の問題が起きてもわかんないって状況で ルールを決めても当てはまらないことのが 多いから
だったら背景だけ伝えて、あった方がいいと思うとかこうした方が いいと思う、あとは自分で考えてくださいっていうふうなことをやった
意味ではもともとの願いからであるし必要 に駆られたってのもあったりしますなんか

結構伸びてるベンチャーではあるあるで、目標設定がやっぱ上手い。逆に言うと、そこ だけ決めてあとは介入していかない。ただ目標設定の背景は、しっかり伝えるように。

前田:なんでこれやってるのか?がわかるし。

北尾:それ結構、初期というか、ミドル・レイターになってもできてない会社も多いんですよ。

前田:そうなんですね。

北尾:そうなんですよ。
ソラジマも今ちょうどミドルのフェーズだと思うんですけど、しっかり当初からそれを作ってるっていうのは、成長の背景が伺えますね。

カルチャーを浸透させるには

前田:ここまで、組織カルチャーをちゃんとすべきだよねって話をここまでしてきたんですけど、そもそも「組織カルチャー強くしよう」となったとして。ミドルでもデータでもいい んですけども。

カルチャーデックの導入、そこまでみんな できるじゃないですか。作ってこういう風にしていきましょうって。
でも難しいのはやはりその後の「浸透」かなと思って。浸透させるために僕らは結構、あらゆる手段を尽くしてるつもりではあるんですけども、どういう方法があるんだろうなっていうところで

思い当たってるものは、あったりしますか。

北尾:やっぱりまず「状況把握をしっかりする」っていう。
どれだけ浸透してるのか、浸透してないのか。よくある間違ったパターンとしては、経営者が浸透していると思って、何もやってなかったり、浸透していないと勘違いして異様に変な打ち手を打っちゃうっていう。

前田:わかるな、それ……。

北尾:例えばサイバーエージェントでやっていていいなと思ったのは、今でもそうなんですけど、定期的に半年やクォーターとか半年に1回は経営合宿に行ってるんですけど。

そこで「今大事にしたいこと」とか「今意識しておくべきこと」は何か?っていうのを画用紙にバーっと書いて、で、それがみんなの解答が一言一句、どれだけ一致してるか。

10個あるとしたら10個中何個一致してるかとかをバンと出してやってみて

前田:確かにそれいいですね。
要は10人ぐらいリーダーを集めて、「今のカルチャーに関する課題を10個あげてみよう」って言って書いてボーンと出す。
全員揃って たら多分事実じゃないですか

北尾:多分認識そう。それが取れてるから、じゃあそれについて どうやろうかを話し合おうみたいなことができるという。

前田:それめっちゃ勉強になります。僕も今度やろうと思います。

この間やっててよかったなと思ったのが、これは僕らのフィードバックカルチャーにも 基づくものなんですけども……いわゆる「ハギマエ裁判」ってやつがあって。

ソラジマ代表の萩原と前田が 囚人服を着て「被告人です」と。
で、社員を弁護団チームと検察チーム、裁判官もいるっていうチームに分ける。カルチャーについて経営者を断罪せよっていう。

北尾:おお~、なるほどね(笑)

前田:便利な部分もあればデメリットもあるじゃないですか。わかりづらいですとか、逆に動きづらいですとか。

それを事前に、バーって回収して……まだ言うて30数名の規模なので、問題全体の問題回収で行ってこうすくい上げられる 状態があって

それをもとに「検察側の主張はこうであるから、このカルチャーを廃止すべきである」みたいな主張して。弁護側は「なるほど、でもこういう側面もあるからやっぱりそれは違う議論なんじゃない?」って感じで話していく。それで、最後裁判官が判断する。

ちょっと認識を揃えるって意味では近かったのかなって思ってます。

北尾:何だろう、その「ハギマエ裁判」。
ネーミングが命っていうのも、よく結構社内でよく言ってて。

前田:サイバーエージェントで?
北尾:そうです。

組織開発×マーケティング

北尾:結局、組織人事施策も社内のメンバーをお客さんと見た時はマーケティングと一緒で、「どう伝えるか」。

なのでもう、分かりやすい、耳に残りやすいネーミングじゃないと一瞬で形骸化しちゃうっていう。形骸化する人事施策ほど意味がないもないんで。

前田:いやこれ本当にたまたまなんですけども、僕も結構、組織開発の担当者にはもうほんとめちゃくちゃ言ってて。

名前だって、本当に僕が言う時は、社内の人をお客様だと言わないん ですけども。

仮に社員が全員小学3年生の人だとして、小学3年生100人いて、あなたのその説明とかネーミングは何人わかると思う?って。

100人中100人がわかるものだけ持って来いっていう風に言ってきたりはしてます。

組織開発に求められる人材

前田:最後に、僕も知りたいことがあるんですけども……この組織カルチャーを強くするっていう、担当の人事の人が社内にいるわけじゃないですか。

どんな人が向いてるんだろうっていう。今マーケティングという言葉もありましたけど、じゃあマーケターがいいんですかね?

北尾:そうですね。
それで言うと、いろんな会社見てて思うのは、組織人事責任者とか人事担当者って、それ専用で採用された人ってあんまり、意外にいない。そうじゃなくてもめっちゃワークしてるなっていうのが思ってるところで。

サイバーエージェントの曽山さんも、営業から人事とかラボベースで長く人事をやってる渡辺さんという方も、もうチーフエブリシングオフィサーぐらい何でもやってきてて。事業もやってたし新規事業の立ち上げもやって。でも人事、みたいな。

で、全体でこうやっぱ思うのは共通して、大前提「めちゃくちゃ人望があるタイプ」
これは別に実責任者だけじゃなくて一定の 責任者とかマネージャークラスはみんな そうだと思います

僕も投資するときに経営陣に見ているところは1個そこで。人がついてくれば、多少その人がミスを犯してもやっぱ助けようとするんで、周りが。
特に人事責任者って、何か特殊能力がいるというよりは、多分人の動きを感じる敏感さとか。一定の人に対するその興味とか洞察力っていうのが長けてる人。

これは人事じゃなくても結構できる人はいるんだなと思ってて。事業責任者とか、マネージャーとか。そういう人を抜擢するというのもありますし、そういう経験者の人を採用する。人事バックグラウンドのない人を採用して、フィットするかどうかっていうのをやってみるっていうのもあると思います。

前田:なるほど。人望があって人に洞察力が高くて、かつ必ずしも人事経験者じゃなくともよい、と。

北尾:そうですね。

前田:じゃあ、ソラジマが、何年か後には、北尾さんの出資している会社の中で一番の組織カルチャーの代表例になるように、ちょっと頑張りますんで。

北尾:いや、そうですね。本当に僕も学びながらですけど、ソラジマは早くから本当に組織カルチャーをやってると思うので。

ミドル経てどうなっていくのかが楽しみすぎて。

前田:一応 その会社で組織開発チームで言ってるのは「これ以上、 3000人になっても3万人になっても、今と同じ濃度でカルチャーを浸透していけたら、世界的に伝説的な会社になるんじゃないか」みたいな感じで。

サイバーエージェントも結構路線に乗ってるじゃないですか。それを超えるようなカルチャーを作っていきたいなと思うんです。

北尾:まさによくぞ言っていただきましたけど、本当僕らもサイバーキャピタルのファンドとして投資しつつもやっぱり、サイバーとかM3とかソフトバンクとかを超えていくような、経営者・会社を投資応援したいと本当ずっと思ってるんで。どんどんね。

前田:ですよね!まかせてください!
世界一、日本一の組織カルチャーの会社を作りたいと思ってるんで。エンタメって領域なのは良かったなって思う。
いろんな事業がある中でも、組織カルチャーに投資した分のレバレッジ が大きい領域だなって思ってるんで。

北尾:確かに。

前田:経営者の多分理念としても、組織カルチャーは投資すべきだっていうのがあるから、2つの相乗効果でより組織が強い会社になっていくんだろうなっていうのは感じているので……ご期待ください!

北尾:楽しみにします!

▼ソラジマ共同代表 Twitter

DMもお待ちしています✉
・前田儒郎:https://twitter.com/juro_maeda
・萩原鼓十郎:https://twitter.com/KJR_HAGI

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