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編集者が語る!Webtoon制作工程-前編-魅力的な企画づくりの秘訣

熱意あるクリエイターさんたちと共に世界的ヒットを目指し、Webtoon作品を制作しているソラジマ。ソラジマ編集部では編集者の三木とかぬ(櫻井)が、Twitterのスペース機能を使い、隔週でWebtoonの企画の作り方や制作工程、創作のウラ話について語っています。その名も「#ソラジマWebtoonラジオ」。
本記事では、ソラジマWebtoonラジオから抜粋したWebtoon制作のポイントをご紹介します!
縦読みマンガと呼ばれるWebtoon制作に参加したいクリエイターさんや、編集者として関わってみたい方はぜひ、読んでみてください!

1)ソラジマWebtoonの制作工程とは?

三木:最初に弊社の作業工程をご紹介します。
まず企画作家さんから上がったシナリオは、ネーム作家さんがネームとして仕上げてくれます。
ネームの次は人物だけの線画を描いてくださる方がいて、その後に背景と、線画に色を付ける人物着彩があります。最後に仕上げ担当の方が、背景データと着彩を終えたデータをまとめて最終原稿に仕上げてくださるんですね。

作品の最高責任者・Webtoon編集者の仕事とは?

かぬ(櫻井):まずは編集者についてですが、僕は映画監督みたいなお仕事だとよく説明していますね。クリエイティブの各工程に責任をもつ最高責任者で、チームメンバーは作品のジャンルにもよりますが、だいたい10~13人。ドレスデザインや魔法のエフェクトをお願いする時など、作品によって増える場合があります。

編集者として気を付けていることは、作家へのフィードバックとして、次の打ち手が具体的に分かるフィードバックを出せているかという点。あと、いいと思ったことは率直に伝えるというのは、必ずやっています。うれしい感想が創作のモチベーションにもなると思うので。

三木:そうですね、編集者にとって言語化能力の高さは必須ですよね。私の場合は「不倫」をテーマにした作品をつくっているので、通常は8人、突発的に1~2人くらい追加でお願いしている感じです。不倫モノは工数がちょっと少なく作れますから。

かぬ(櫻井):三木さんがやってる不倫モノはどういう経緯で生まれたんでしょうか?

三木:Webtoonはヒットするジャンルがある程度あって、男性向けなら俺TUEEEモノ(主人公が無双する話)、女性だったら異世界で恋愛する話や悪役令嬢とか。その中で不倫モノもある程度、ヒットが出る確率が高いジャンルなんですよね。数あるジャンルの中で、自分の好みもあって不倫モノを選びました。

企画を考える際に、まず不倫モノのおもしろさは何かを突き詰めます。そこで読者が不倫モノに求めているおもしろさは「エグみ」だと思ったんですね。「エグみ」と悪役が成敗される「スカッと」要素。ここを絶対に欠かしちゃいけない要素として踏まえ、余命3ヶ月の配偶者がいるのに不倫に走ってる奴がいたら、めちゃくちゃエグいと考えてこの企画が生まれました。

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かぬ(櫻井):企画制作の際にベンチマーク作品があると、オリジナリティーの配分に悩むと思うんですが、三木さんはオリジナリティーの濃度をどのくらいにしていますか?

三木:ログラインで7:3くらい。7がベンチマーク作品で、3がオリジナリティーです。ただ、そのログラインをもとに走らせていって、15話くらいからベンチマークよりもオリジナリティーが色濃くなっていくというイメージでいます。

新人の編集者さんが入ってきた時に、最初に苦労するのは、この企画がベンチマーク作品の1.1~1.2倍のおもしろさになっているかどうかの見極め。大事なのはオリジナリティーの部分で、このジャンル特性に何を駆け合わせたらより魅力的になるかというのが、企画を考える上で大切なことだと思っています。かぬ(櫻井)さんは?

かぬ(櫻井):作品のジャンルにも寄りますが、俺TUEEE系と呼ばれる男性向けファンタジー作品だと、ストーリーラインでオリジナリティーを出すのはけっこう難易度が高いと思ってるんですね。じゃあ、どこにオリジナリティーを入れるかというと、無双のギミックを変えていくという手法が一番やりやすいと思ってるんです。他にはログラインを濾して最後に残った面白いポイントだけベンチマークに置く、というパターンもありますね。

編集者には、その企画でどのくらいの売り上げの見通しが立つかも考えてもらってますが、そこが論理的に説明できないと、企画が通りにくいというのはあるかもしれませんね。

三木:万が一、企画が失敗してしまった時に、なぜ失敗したのかという点を言語化できないと次に活かせないですからね。

 一言で作品の魅力を伝える・企画作家の仕事とは?

――Webtoon作品の企画書づくりの基本

かぬ(櫻井):企画を初めて読む人にも、企画の一番の魅力がバシッと伝わる企画書になっているかが基本のポイント。具体的には、ログラインがあらすじになってる、あらすじで物語の全貌が書かれていない、文字が小さすぎる、本質的なオリジナリティーがあるのか、などですね。すごく魅力的な企画なのに、それを他者に伝えきれていないともったいないですから。

三木:企画書をつくるポイントとして、まず日本語が読みやすいこと。それから、明確なログラインからイメージが膨らんでくるか。あらすじを読んでいる時には、膨らんだイメージの答え合わせをしている感じですが、読んでいて心を奪われる瞬間があるんですよね。そこで一気にイメージが広がると、おもしろそうな企画だなぁって思いますよね。

私は企画書段階ではキャライメージはそこまで重要視していなくて。順番として、ログラインやあらすじの中に光るものがあり、次に面白さを発揮してくれるキャラクターを作っていくっていうイメージでいます。

フィードバックとしてよくあるのは、ベンチマーク作品のログラインとずれていること。なので、まずベンチマーク作品のログラインをしっかり踏襲し、その上でオリジナリティーをつけていただくようにお願いしています。

▼ヒット作品の企画作家インタビュー記事はこちら

【comico月間2位!】Webtoonヒット作の企画作家、編乃肌さんインタビュー

――企画づくりに大切な「緩急」「行動原理」「差別化要素」

かぬ(櫻井):僕がいい企画書だと思う時は、共通点として「企画書を読んで具体的なシーンのイメージが湧く」というのがあると思っています。あらすじを読んで、シーンや見せゴマが浮かんでくるかどうか。伝えたい内容が伝わり、早い段階で共通認識の形成ができるような企画書が良い企画書という感じでしょうか。ほかに、男性向けファンタジー作品の企画としては、物語の緩急と主人公が向かっていく明確な目標設定がある企画は、マッチ率が高いかなと思っています。

それから感情移入できるまでの速度感。ロマンスファンタジーだと、一瞬でバケツに水を貯めて、一気にひっくり返していくのをコンスタントにやっていくものだと思ってますが、不倫モノはダムみたいに最初の積み上げがあればあるほど、その後のエグみが増していくじゃないですか。男性向けファンタジー作品だと、最近のトレンドとして3~4話が終わるまでには、主人公が無双できる状態になってる感じがしますね。

まとめると、物語の緩急と明確な行動原理の提示。それ以外にキャッチーな差別化要素があることがポイントですね。

――物語の構成を考える上で大事な「山場」と「引き」

かぬ(櫻井):プラットフォームによりますが、Webtoonはだいたい3話くらいまでが無料で読めます。僕は無料部分が立ち読みだと思ってるんですが、主人公の行動原理や物語の魅力、継続して読みたくなるような山場や引きを、無料話でどれだけ提示できているかっていうのは考えてますね。

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三木:山場についてもう少し解説すると、分かりやすいのはまず「葛藤」ですよね。誰かと誰かが対立してるとか、求めてるものがぶつかり合うとか。Webtoonは弊社の基準でいくと1話の中に山場が2つ入るイメージなので、かなり早い展開が求められている感じです。

山場がないっていうフィードバックはよく出すんですが、Webtoon制作経験のない作家さんが最初につまずくポイントは、丁寧に描きすぎてしまうことかなと思っています。描きすぎるとWebtoonの読者さんだと飽きてしまう状態になるので、なくても成立するセリフなら全部取ってしまいましょう、と赤入れすることは多いです。他に脚本では、会話劇になりすぎないようにっていうのは意識しています。会話だけだと盛り上がらないですからね。

かぬ(櫻井):男性向けだと、苦境をどうやって切り抜けていくんだろうっていう状況とかが山場ですね。女性向けだと悪役令嬢モノで虐げられている主人公や、溺愛やじれったい系のロマンス作品にあるように、感情の揺れ動きやもどかしさが山場に当たります。そういうのが1話の中に2つくらいあるイメージ。

現在のWebtoonはスキマ時間で楽しんでくださる方が多い印象なので、短時間にサクサク楽しめることが大事で、積み上げがつづくよりもコンパクトな時間で緩急が連続している作品が合うと思います。

脚本でいうと、密度の濃い展開が作れているかっていうフィードバックはよく編集者に出しますね。ロマンスファンタジーだと主人公が悲惨な目に遭っているという積み上げはよくあるんですが、そのシーンを数ページのコンパクトな分量で見せることもできるはず。男性向けファンタジーだと、エフェクトのカッコよさは目立つけど、アクション一辺倒では入り込めないので、やっぱり展開の緩急が必要だと思っています。

三木:Webtoonの場合は、次に起こる展開の冒頭を、前の話の最後にくっつけちゃうっていうのもありますよね。そうすることでつづきが気になって、読者が次の話も読んでくれます。あとよく使うのは、キャラクターの感情が大きく揺れ動いた瞬間で終わらせるというやり方。不倫モノだと復讐してやる!とか感情が爆発する展開が多いんですね。なのでそこで終わりにすることは割とあります。

かぬ(櫻井):Webtoonで日常系の話は厳しいといわれる理由として、日常系だとモヤモヤする状態で終わらせるのが難しいからだと思っています。

――脚本づくりに関係する広告ウケする展開とは?

三木:各話の構成として、Webtoonはオンラインで読むものなので、広告ウケする展開を作れるかというのは意識しています。広告の素材になりそうな展開を数話ごとに配置できているか、ということですね。

私はWebtoonの編集をやる前に、YouTubeアニメの監督をやってたんですが、YouTubeでヒットするかどうかは、サムネイルが大きく影響を与えます。サムネイルでめちゃくちゃ刺さるのがスカッと系なんです。スカッと系がいかに人々に刺さるかっていうのは、YouTubeアニメの仕事で肌身に感じましたね。実際に制作する際には、脚本家さんと「ここはもっとエグくできるから、広告ウケする展開を作りましょうか」という話をしています。

かぬ(櫻井):我々編集者が見るべき数値として、継続率や流入があると思うんですが、そこに大きく関わってくるのがサムネイルとかキービジュアルですよね。編集者陣で広告研究もしていますが、おかげで脚本を読む時に広告にするならどう訴求するのがいいかを考えながら読めるようになりました。作家さん目線でも、広告にできる脚本になってるかをチェックする目線を持てると強いのかもしれないですね。

三木:まさにその通りで、今、一緒にやってくださってるネーム作家さんは「ここが広告向けのコマ候補です」っていう印をネームにつけてくれるんですよ。こういうのを主体的にやってくださるのは本当に心強いなって思います。

後編に続きます▼


2)ご質問やご感想は #ソラジマWebtoonラジオ で!

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過去の放送回アーカイブはこちらから▼

三木(ソラジマ編集者)
担当作品:『余命3ヶ月のサレ夫』
Twitter:https://twitter.com/morimelon2

櫻井(ソラジマ編集者)
担当作品:『コピースキルの最強魔導師』
Twitter:https://twitter.com/canu_webtoon

執筆:みじんこ
世界を旅する黄色いイキモノ「みじんこ」コルクラボマンガ専科7期生Twitter:https://twitter.com/mijin_combi

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